南八甲田・黄瀬川 & 森吉・桃堂川〜赤水沢下降
期間:2025/8/9〜11
メンバー:近堂、木下、重冨、東、鈴木(記)、佐藤
車2台による6人のツアーで実施。遠出は人数が揃うと出費を抑えられらので、同じ嗜好の仲間が多くいるのは素晴らしい。
@8/9,10 黄瀬(おうせ)川
入山地点の「松見の滝入り口」と下山する猿倉温泉は車で20分程離れているので、車が複数あると便利。
車を配置して昼前にのんびりと出発。松見の滝までは黄瀬橋を渡って林道と登山道で行くのが通常のようだが、遠回りなので、沢ヤであれば黄瀬川右岸の林道を辿って国土地理院地図の登山道の橋の表記がある地点(橋はなくなっている)から入渓した方がはるかに楽である。

松見の滝は見応えがある。下から見える3段目の流れが水流近くも右岸の壁も絶望的で、既成の左岸からの巻きに甘んじる。



沢は全体にナメの癒し系で滝は全て直登出来た。
それなりのクライミングになるところもあるが、高さは無いのでロープは一度も出すことはなかった。高巻きをやらなかったため2度程泳いだが僅かな距離である。
とにかく、童心に帰ってはしゃぎながら登るのが楽しい。そんな仲間たちと登るのに向いた沢だ。

標高600mの右岸から枝沢が入ってきている地点で幕営。ひとつ上の長根沢も含めて幕営地はそれなりにあるが、個人的には600m地点がお勧めである。
ここで仲間が1人でイワナ6匹を釣り上げる偉業を成し遂げ、1人1匹ずつ天然イワナの塩焼きを堪能できた。焚き火、イワナの塩焼き、おこげ付きのご飯。まさにプライスレスの時間であった。
翌日もスタスタと進み、残雪もわずかなブロックを見た程度で、ロープを出すこともなく、沢を横切る登山道のお陰で藪漕ぎもなく脱渓。昼過ぎに猿倉温泉に達した。
日帰りで行ける沢だが、癒し系な上に魚もいるので、やはり泊まるのが楽しいだろうか。
ちなみに下山口の猿倉温泉は日帰り入浴は土日祝日のみで時間も15時までと注意が必要だ。
下山後の食事は十和田湖周辺になると思うが、営業時間はあまりあてにならないので事前に電話して確認するのが良い。
また、タイミングによるだろうが、今回は虫に悩まさることはなかった。とは言え、仲間の1人は何に刺されたのか瞼が腫れ上がってしまっていた。虫除け、抗ヒスタミン剤、ステロイドは必携だ。
A8/11 桃洞(とうど)沢、赤水沢
森吉の奥深さを感じられるロケーションの奥森吉青少年野外活動基地キャンプ場で泊まり、朝にクマゲラ保護センターに移動。この一帯は電波が繋がらない。
センターから桃洞沢と赤水沢の分岐点までは立派な登山道になっているが、足回りは濡れる前提の方が良い。
前日の黄瀬川からの下山も湿地が多く濡れるのは不可避で、登山靴では厳しい。こうした山では沢装備がバッチリである。
また、会の過去の記録で、センターから分岐点までの間で見たこともないくらいの大量の蚊に悩まされたとあったが、これもタイミングの問題か、今回は蚊は1匹もいなかった(キャンプ場にはいた)。アブは大小それなりにいたので肌の露出は控え、しつこい上に動きが早いので百均の捕虫網の柄を短く切ったもので各個撃破するのが効果的であった。

ちなみに桃洞沢は国土地理院地図では「トウド沢」となっているが、現地の案内板のルビは「TOUDOU」となっていた。
渓相は見事なナメが続き、滝も美しくて楽しませてくれる。随所に「マタギステップ」と呼ばれるステップが穿(うが)たれていたり、ガイド用と見られるハンガーボルトが打たれている。


我々はむしろ、これらの既成ルートとは異なるラインを登るのを楽しみ、落ちればケガするところではロープを出した。経験者であれば既成ルートをロープを出さずに行けるだろう。

下降の赤水沢も同様で、下降支点用のハンガーボルトが多く見られたが、クライマーなら歩くか脇の樹木を掴めばロープ無しで下りることが可能だ。

終盤、仲間の希望で「九階の滝」を見に行った。生い茂る木々のため、最低鞍部周辺からは見えないので、南東方向の尾根に少し登ると良い。赤水沢から標高差100mの水平距離300mくらい、往復で40?50分程。遠くに見えるその威容は実に登りたいと思わせてくれるものだった。

最後に、桃洞沢、赤水沢の水は茶色がかっていて何となく飲む気になれない。装備としては高巻きをやらなければチェーンスパイクの出番は全くなく、ロープは30mを1本で充分であり、ハーケンとハンマーも不要で、地形が似通っていて枝沢も多いのでGPSがあると便利だと感じた。虫対策は厳重に備えておいて損はない(肌を露出しない服装、軍手、虫除け、防虫ネット、薄手のヤッケ、アブ殲滅用捕虫網、抗ヒスタミン剤、ステロイドなど)。
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